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江戸期の北方探検家で歴史創作。絵・漫画・設定・調べ物などゆるゆるっとな。


2025年2月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

◆『猛き黄金の国 伊能忠敬』上下巻 本宮ひろ志 集英社 ヤングジャンプコミックスGJ 2021年

あの本宮先生が伊能忠敬を描くのか…それは熱いな!と思いつつ読了。よく考えたら『サラリーマン金太郎』をはじめ働く人にスポットを当てた名作が多いので、地道に働き続けた伊能の生涯を描くにはもってこいだろうなとちょっと納得しました。絵もずっしり安定感とコマ割りや台詞もハイテンションながらもテンポがあって、やっぱりプロ作家さんの作品は感情移入しやすく面白い。
※『猛き黄金の国』では岩崎弥太郎の生涯を描いており、以降はこのタイトルを冠し時代を問わず日本の偉人を描くシリーズものとなっています。

しかし伊能の全生涯をこの上下巻(約400ページ)で描ききるのは至難の業…上巻と下巻の半分くらいまでは若き日の商人としての活躍が描かれ、あとの残りでやっと天文方に弟子入り、測量地図作りがぐっと凝縮して描かれています。漫画なので演出などの脚色もあるにはあるものの、エンタメとして見れば致し方なしですね。例えば間宮林蔵の伊能への師事と蝦夷地測量、樺太行きの時系列は全く逆です、実際は樺太が先。あとミチさんとの新婚当時の関係性は以前の伝承を踏襲しているのかな、とか。
描き手の訴えたいことは何となく分かるので、それを前面に出すために必要だったのかもな、と思うことにします。

個人的には、息子の秀蔵との関係性が良好に描かれていてほっこりしました。実際は第六次測量まで助手として同行しながら途中で帰され、最終的に破門されています。後継ぎの景敬と比べると冷淡な扱いだったらしく…また娘のイネさんの勘当も描かれておらずその辺りは平和な伊能家でした。
忠敬という人は、身内に対してもかなり厳格で気難しく、今で言う結構なパワハラモラハラ気質だったのはまあ有名です。それくらいでなければ大事は成し遂げられないというのも理解は出来ますが。
それらのプライベートも描き出したらもういくらページがあっても足りませんね…!

間宮の描かれ方にやっぱり笑ってしまう、絶対上品に描かれることのない人だな。
あと高橋至時先生がメガネ君なのはちょっとかわいい(笑・思わず自分も影響受けてしまった)

学習漫画とかもそうですが、こういう歴史系の人物漫画を描かれる方はプロアマ問わず尊敬しますね。
当時の服装とか、背景とかさあ…!!(色々敵わないことを悟った叫び)

#伊能忠敬

関連本

◆伊能忠敬の第一次測量、東蝦夷地の行程エピソード

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松田さん家にも宿泊されていたというのを測量日記を見返して初めて知りました。
日記には泊まった場所と家主の名前が記されていて、念の為松田伝十郎関係の本も確認したら、この当時エトモ(室蘭・絵鞆方面)に在勤していたらしく、そして当時は仁三郎を名乗っていたので、これは間宮と樺太に同行したあの松田さんでしょう、と。
意外な繋がり(もっとも、伊能と松田が会ったのはこれきりのように思いますが)があって面白い。

#伊能忠敬 #松田伝十郎

漫画

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ショート漫画を描き始めてますが、プレゼンぽいものなので説明文が長くなりがちです。
ネームの段階で手書きで字を入れると、整わなくて紙面を字で埋め尽くすことになりかねないので、基本デジタルで文字入れしてます。
それでもそこそこ描き込まないと進まないネーム…あとで大幅に手直しになったらどうするのだろうね(笑)
デジ絵はそういうときまあ対応しやすいと思うので、文明の利器の使い勝手に期待!

当初モノクロで描こうと思っていたけど、作りたい本がカラーイラストも載せたいので、となると本文フルカラー印刷になるため、いっそ全カラーでとなってます。どっちが楽なのかな…

いつか普通にモノクロでストーリー漫画も描きたいな…

雑談

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◆人物叢書『最上徳内』(新装版) 島谷良吉 吉川弘文館 平成元年(原版は昭和52年発行)

人物にスポットを当てて知りたい場合はやはり人物叢書シリーズが良いのでしょうね。
徳内さん関連を復習して再読したので、上げておきます。

初読からは大分経つのですが、吉村昭の『間宮林蔵』>>22では、気難しい大先輩のように書かれていたものの、かなりの北方のエキスパートでもあったということなら是非知っておきたい人物だと思い、こちらを手に取りました。同時期に読んでいたみなもと太郎『風雲児たち』でも最上徳内がクローズアップされており業績は大まかに把握していたこともあって、本書も研究書でも結構面白くて一気に読了した記憶があります。

先日年表を作りながら再読したのですが、著者の熱意が感じられる筆致で、研究書としては血が通っておりまた興味深く読みました。著者は徳内さんの妻おふでさん側の島谷家の縁者の方らしく(そもそも徳内とおふではそれぞれ祖父・曽祖父が兄弟という親戚関係)、それ故の敬愛の念も感じられます。

本文内容の徳内の業績については、このブログでも度々記したので割愛します。

一つこれはえぐいなと思ったのが、遠山景晋に付いて蝦夷地巡見した際に江差の神社に松前章広が奉納した「降福孔夷」の額を「降福紅夷」と読み(くずし字だったためそうとも読めた)、松前藩がロシア側に傾いていると解釈して問題視した件は思わず「国家安康かよ!」と叫びたくなりました(笑)。遠山は、それは詩経の一句だからこじつけは良くないと諌めたものの、結果俎上に上がってこれが松前上地(蝦夷地全域の幕府直轄)の決め手になったというのは、中々の策士振りだなあと。
松前藩のアイヌに対する差配や対露警備もろくになってなかったため、常に上地の機会を幕府側に窺われていたということなのでしょうが。ここに清い人情家というばかりではない徳内の姿が垣間見られてそこも興味深くもあります。それならシーボルトに地図を渡した件も本心はわからないわけで…

この精力的な行動を見ていると、本当は樺太の北部にも行きたかったんだろうな、なんなら島か半島かも自分が見極めたかったんだろうなと思ったりします。間宮などの若手にちょっと嫉妬する黒徳内さんもいたのかもとか。それはそれでなんだか人間臭くていいな。

#最上徳内

関連本

◆『伊能忠敬と間宮林蔵の業績』中島武久 ブイツーソリューション/星雲社 2022年

最近欲しい本をチェックしていた時に目に入った本。伊能・間宮関係で新しく発行された本だったので、どのような感じなのか試しに購入してみたものです。研究本というよりはこれらの人物に感銘を受けて執筆したプレゼン本といったところでしょうか。文だけの構成には珍しく横書きのレイアウトです。

間宮の項に関しては、参考書籍が吉村昭の小説>>22になっているので、そちらを読了しているなら特に真新しい情報はありません。というか、著者なりに編成はされてはいるものの若干言い回しを変えている程度のほぼ引用なので、著作権的にどうなのか謎…ちょうど樺太探検の部分をチョイスしているのは、著者が戦前のお生まれだからというのもあるのでしょうか(私も樺太探検の部分は好きですが)。

伊能の項には興味深いものもあって、佐原時代の旗本津田氏との関係や、永沢家との駆け引きなど、面白く読ませてもらいました。ただ私が関係書籍をそれほど読んでいない故なのだろうと思うので、やはり以前に出版された伊能関係の名著に当たるべきかなと。そういうきっかけをくれる種の本かもしれません。

これは、著者というより出版社や発行元への苦言なのですが、誤字が異様に多いのはさすがに辟易しました…1〜2ヵ所程度ならあるあるですが、読み進める度にそこで引っ掛かり、雰囲気も壊してしまっているように感じます。同一人名が次では違う字で表記揺れしていたり、図合船を合図船と誤記(最後までずっとこの表記だった)していたりで、もしや自分が知らないだけでそういう呼びもあるのかと調べ直したりと、余計な作業で読むのを中断させられるのはちょっと…(年末年始に頭抱えながら読んでいた>>21のはこれです)校正、されてます??

同人誌ならともかく、仮にも出版社で発行・販売しているならちゃんと校正入れてほしい。
(出版社名で調べてみると、なんとなく察しな感じではありましたが…本を出版したいという人が相当数いるのはわかるけど、出すからにはちゃんと整えてやってよ)

昨今の商業出版事情も垣間見えてしまって、微妙な気持ちになっています。

#伊能忠敬 #間宮林蔵

関連本