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江戸期の北方探検家で歴史創作。絵・漫画・設定・調べ物などゆるゆるっとな。


2025年2月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

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ショート漫画を描き始めてますが、プレゼンぽいものなので説明文が長くなりがちです。
ネームの段階で手書きで字を入れると、整わなくて紙面を字で埋め尽くすことになりかねないので、基本デジタルで文字入れしてます。
それでもそこそこ描き込まないと進まないネーム…あとで大幅に手直しになったらどうするのだろうね(笑)
デジ絵はそういうときまあ対応しやすいと思うので、文明の利器の使い勝手に期待!

当初モノクロで描こうと思っていたけど、作りたい本がカラーイラストも載せたいので、となると本文フルカラー印刷になるため、いっそ全カラーでとなってます。どっちが楽なのかな…

いつか普通にモノクロでストーリー漫画も描きたいな…

雑談

2025年1月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

◆人物叢書『最上徳内』(新装版) 島谷良吉 吉川弘文館 平成元年(原版は昭和52年発行)

人物にスポットを当てて知りたい場合はやはり人物叢書シリーズが良いのでしょうね。
徳内さん関連を復習して再読したので、上げておきます。

初読からは大分経つのですが、吉村昭の『間宮林蔵』>>22では、気難しい大先輩のように書かれていたものの、かなりの北方のエキスパートでもあったということなら是非知っておきたい人物だと思い、こちらを手に取りました。同時期に読んでいたみなもと太郎『風雲児たち』でも最上徳内がクローズアップされており業績は大まかに把握していたこともあって、本書も研究書でも結構面白くて一気に読了した記憶があります。

先日年表を作りながら再読したのですが、著者の熱意が感じられる筆致で、研究書としては血が通っておりまた興味深く読みました。著者は徳内さんの妻おふでさん側の島谷家の縁者の方らしく(そもそも徳内とおふではそれぞれ祖父・曽祖父が兄弟という親戚関係)、それ故の敬愛の念も感じられます。

本文内容の徳内の業績については、このブログでも度々記したので割愛します。

一つこれはえぐいなと思ったのが、遠山景晋に付いて蝦夷地巡見した際に江差の神社に松前章広が奉納した「降福孔夷」の額を「降福紅夷」と読み(くずし字だったためそうとも読めた)、松前藩がロシア側に傾いていると解釈して問題視した件は思わず「国家安康かよ!」と叫びたくなりました(笑)。遠山は、それは詩経の一句だからこじつけは良くないと諌めたものの、結果俎上に上がってこれが松前上地(蝦夷地全域の幕府直轄)の決め手になったというのは、中々の策士振りだなあと。
松前藩のアイヌに対する差配や対露警備もろくになってなかったため、常に上地の機会を幕府側に窺われていたということなのでしょうが。ここに清い人情家というばかりではない徳内の姿が垣間見られてそこも興味深くもあります。それならシーボルトに地図を渡した件も本心はわからないわけで…

この精力的な行動を見ていると、本当は樺太の北部にも行きたかったんだろうな、なんなら島か半島かも自分が見極めたかったんだろうなと思ったりします。間宮などの若手にちょっと嫉妬する黒徳内さんもいたのかもとか。それはそれでなんだか人間臭くていいな。

#最上徳内

関連本

◆『伊能忠敬と間宮林蔵の業績』中島武久 ブイツーソリューション/星雲社 2022年

最近欲しい本をチェックしていた時に目に入った本。伊能・間宮関係で新しく発行された本だったので、どのような感じなのか試しに購入してみたものです。研究本というよりはこれらの人物に感銘を受けて執筆したプレゼン本といったところでしょうか。文だけの構成には珍しく横書きのレイアウトです。

間宮の項に関しては、参考書籍が吉村昭の小説>>22になっているので、そちらを読了しているなら特に真新しい情報はありません。というか、著者なりに編成はされてはいるものの若干言い回しを変えている程度のほぼ引用なので、著作権的にどうなのか謎…ちょうど樺太探検の部分をチョイスしているのは、著者が戦前のお生まれだからというのもあるのでしょうか(私も樺太探検の部分は好きですが)。

伊能の項には興味深いものもあって、佐原時代の旗本津田氏との関係や、永沢家との駆け引きなど、面白く読ませてもらいました。ただ私が関係書籍をそれほど読んでいない故なのだろうと思うので、やはり以前に出版された伊能関係の名著に当たるべきかなと。そういうきっかけをくれる種の本かもしれません。

これは、著者というより出版社や発行元への苦言なのですが、誤字が異様に多いのはさすがに辟易しました…1〜2ヵ所程度ならあるあるですが、読み進める度にそこで引っ掛かり、雰囲気も壊してしまっているように感じます。同一人名が次では違う字で表記揺れしていたり、図合船を合図船と誤記(最後までずっとこの表記だった)していたりで、もしや自分が知らないだけでそういう呼びもあるのかと調べ直したりと、余計な作業で読むのを中断させられるのはちょっと…(年末年始に頭抱えながら読んでいた>>21のはこれです)校正、されてます??

同人誌ならともかく、仮にも出版社で発行・販売しているならちゃんと校正入れてほしい。
(出版社名で調べてみると、なんとなく察しな感じではありましたが…本を出版したいという人が相当数いるのはわかるけど、出すからにはちゃんと整えてやってよ)

昨今の商業出版事情も垣間見えてしまって、微妙な気持ちになっています。

#伊能忠敬 #間宮林蔵

関連本

◆日本史リブレット人057『伊能忠敬』星埜由尚 山川出版社 2010年

伊能忠敬についての本、有名すぎる人物のせいか未だに何を読むべきかがわかっていません。
童門冬二の本や、大谷亮吉、保柳睦美ほか各先生方の研究本もあるのは知っているのですが。
ネット上に伊能研究会のサイトもあり、会報誌などの内容も公開されているため、最新の情報が掴めるのでそちらにガッツリとお世話になりっぱなしで来てしまった感があり、なんだか申し訳なさもあったりします(非会員です…)。

著者は伊能研究会に携わっている方なので、信用出来る良い本だと思います。
手始めに知りたいというならば、個人的にも日本史リブレットシリーズはとても重宝しています。
文章の中に出てくる人物や事象の解説が上部にあり、わかりやすいです。

不明点にぶつかった時に、研究会のサイトと共に折に触れて参考書的に引かせてもらっている本です。



余談ですがそういえば、小説『四千万歩の男』も読みたいと思いつつもすっかり購入を忘れていた…
伊能忠敬に関しては、史実に基づいた学習(研究)本が読みたかったので、所詮フィクションだろうからと、後回しにしていたので。
しばらく積読になるだろうけど、そろそろ購入しておこうかな…

#伊能忠敬

関連本

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徳内さん。やっぱり印象深いのはイジュヨとのすれ違いですかね…
エトロフ島調査で出会ったロシア人イジュヨらに退去を促しつつも、ロシア語を教わったり互いの国情を交換したりと、友情も深めていくものの、その数年後に再度エトロフ島へ向かうも、到着した2日前にイジュヨは既に島を退去しており、すれ違いに。
一説には、イジュヨらは、エトロフに向かって来ているのが徳内ではなく他の役人だと思い込み慌てて退去したとも言われており、またこの間に徳内さんも普請役に昇進したために以前より自由に動けず、後を追うのが遅れたという事情もあるらしく。

徳内さんが握りしめているのは、イジュヨからもらったパスポートです。
エトロフからウルップ、更にその先カムチャッカまで、広い世界への関心を持つ徳内さんに、ロシア側に捕まってもこれがあれば大丈夫と渡してくれたもの。これがあればどこへでも行けると、『風雲児たち』でも描かれたシーンは印象的です。

花はチシマザクラ。鳥は、善知鳥(ウトウ)といいます。北海道の離島や北方領土方面に多く生息しているのですが、この剥製を持ち帰って堀田老中へ贈り、他文化人の関心を引いたりもしていた模様。
地図は彼の報告書『蝦夷国風俗人情之沙汰付図』を参考に、エゾからカラフト、クナシリ、エトロフ方面になります。

イジュヨとの出会いからエトロフ再渡島までの間にも、松前藩に追い出されたり、自身の婚姻や、上司の青島に連座し投獄され(これは理不尽案件ですが)、妻が江戸まで追いかけてくるなどなど、波乱とエピソードも豊富な御仁です。全生涯で9度、蝦夷地に渡島して調査し、その後も八王子で製蠟の指導や論語の再編等の執筆活動も精力的にこなすなど、この方の辞書に休息などという言葉はあったのだろうかという活動ぶり。晩年は平田篤胤と深い交流があったようです。

シーボルトに間宮の地図を渡したのも彼…25年間の出版禁止の約束を取り付けた(それを守ったシーボルトも誠実)のは賢明だなぁと。

復習で色々読み返しましたが、改めてなかなか面白かったです。

#最上徳内

イラスト